新型コロナウイルス感染症対策に係る緊急短期入所受入加算の件。以下、特例算定とします。
介護保険最新情報Vol.842(R2.6.1発出)『新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)』で明らかになりましたが、続くR2.6.15の介護保険最新情報Vol.847『新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第 13 報)』を読んで「算定しようかな」と思った事業者は多いのではないでしょうか。
以下、ちょっとまとめてみました(KAKAMEN整理)。
特例算定の目的
- コロナ禍による諸経費増(備品の増強・消耗品単価の高騰・新たな感染症対策などが考えられます)への対応
- より充実したサービス提供に向けて取組みを進めていくための原資
- 介護事業者頑張ってくれてありがとう(←たぶん)
算定方法
- 月の利用日数を3で除した回数ぶん算定可能
- 端数切り上げ
※R2.6.25修正
算定可能日数の例
利用日数 | 計算式 | 算定可能日数 | 単位数 |
1日 | 1日÷3=0.33… | 1日 | 90単位 |
5日 | 5日÷3=1.66… | 2日 | 180単位 |
10日 | 10日÷3=3.33… | 4日 | 360単位 |
20日 | 20日÷3=6.66… | 7日 | 630単位 |
30日 | 30日÷3=10 | 10日 | 900単位 |
31日 | 31日÷3=10.33… | 11日 | 990単位 |
R2.6.25修正
留意事項(随時追加変更)
- 従来の緊急短期入所受入加算を算定している利用者の場合は、7日間の算定後の残り利用日数を3で除した日数を算定可能。ただし限度は14日
例)利用日数20日・従来の緊急短期入所受入加算を7日算定した場合
(20日-7日)÷3=4.33…≒5日 を加算し計12日ぶん算定できる - 従来の緊急短期入所受入加算は原則7日(家族にやむを得ない事情がある場合等には14日)が限度だが、今回の特例は限度回数にとらわれず7回以上の算定が可能
- 長期利用者については毎月の算定が可能。
例)6月は30日間利用、月をまたいでそのまま7月も31日間利用した場合
6月→10日間 7月→11日間 が算定可能(翌月以降も同じ)
注)従来の緊急短期入所受入加算対象者の場合は最大14日まで - 請求前に同意をもらっていれば6月ぶんから算定可能。必ず同意日以降から算定開始というわけではない
- 算定期間は当面の間。国が通知を出すでしょう
- 同意は事業者・ケアマネどちらがとっても良い
- サービス計画・給付管理に関わるため事業者⇔ケアマネと連携の記録が必要
- 一方的に「算定することになりました」の通告じゃダメ
- 算定根拠の丁寧な説明・同意は必須。同意が取れなきゃ算定しちゃダメ
- 要支援の利用者に対しては何もなし
- 算定の是非・算定回数は事業者が決断し、利用者・ケアマネ間で同意・連携のうえで
※R2.6.20追記・修正
※R2.6.25追記・修正
疑問点(随時追加変更)
- 特例算定により限度額超過した場合の取扱は。超過可能なのか
- 短期入所の長期利用者(1日全額自己負担で30日ルールをリセットしている利用者)は自己負担利用日(保険外利用)の日に算定しても良いのか
※R2.6.18 変更
限度額超過利用者に対する取扱い(の案)①~⑤
従来の緊急短期入所受入体制加算どうしても軽介護度(要介護1~2の方)が長期間にわたって短期入所生活介護を利用しているケースがあると思います。
すでに支給限度基準額を超過していることも多く、さらに30日ルールによる保険外利用により利用者・身元引受人の支払額が多くなっています。この方たちにどう対応するのか。
①超過見込者は限度額超過するまで算定
支給限度基準額を超過しない利用者は、規定回数いっぱいを算定。30日利用なら10回分、31日利用なら11回分。
限度額超過してしまう利用者は限度額超過するまでは算定、それ以降は算定しない。
おそらく要介護1は0回、要介護2は0~2回くらい?
収入増(中)。
規定回数いっぱい算定している他利用者との公平性をどうするか。
②超過見込者は回数を決めて算定
限度額超過しない利用者は、規定いっぱい算定。
限度額超過する利用者は、規定いっぱいではなく(利用者負担軽減の観点から)ある程度回数を制限して算定。例えば半分の5回とか。
収入増(大)。
規定回数いっぱい算定している他利用者との公平性をどうするか。
超過利用者の負担増をどう説明するか。保険外だと(1単位10円として)1日900円の増額。仮に5日間算定し全超過した場合、4,500円の負担増。大きい。
③右にならえで全利用者規定回数いっぱい算定
要介護度に関係なく、全利用者規定回数いっぱい算定。
収入増(特大)。
利用者全員に算定しているから公平といえば公平。
限度額超過利用者の負担が激増。1日900円、10日間で9,000円、11日間なら9,900円!超大きい。理解してもらえるか。
④右にならえで全利用者回数を決めて算定
要介護度に関係なく、全利用者回数を決めて算定。5回とか。
収入増(小)。
利用者全員に算定しているから公平といえば公平。一番説明し易いかも。
取れる加算を手放していることにもなるから勿体ないといえば勿体ない。
⑤右にならえで全利用者算定しない
要介護度に関係なく、全利用者算定しない。
利用者全員算定しないから公平。
利用負担増もなし。もちろん限度額超過利用者も。
収入増えない。ゼロ増。どうする大丈夫か。
KAKAMENの感想
これって事業経営に悩まされる事業所の救済措置の意味合いが強いですよね。
確かに短期入所の場合1回90単位はかなり大きいです。
実際にコロナウイルス感染症が発生していなくても、高いマスクや消毒液を買ったり、アクリル板やビニールなどの備品や、フェイスガード等の消耗品も新たに購入したりして対策をしているわけですから。
その補償として同加算を算定出来るようになったのは嬉しい限り。
決断をした国と働きかけた関係議員・機関の皆さんには敬意を表します。
ただ、算定に二の足をふんでいる事業所が多いのも事実です。
なぜ躊躇するのか。
それは、国による事業者への補償・補填の一部を利用者に負担してもらっているという感情が抜けきれないからです。
コロナ禍で事業者の経営が苦境
↓
国による補償をしなきゃ
↓
既存の加算を特例算定できるようにしよう。その方がスピーディだ
↓
加算だから利用者自己負担発生しても仕方ない
↑なんでやねん!
この考え方がサービス利用者に理解されるだろうか、受け入れられるだろうか、同意の有無で算定の是非が変わるのは不公平ではないのか、という事業者の思いがあるからでしょう。
そりゃ事業者としては取得可能な加算は欲しいですからね悩みどころです。
ですが、声を大にして言いたいのは
特例で利用者負担をナシにしてよ。
ということです。
それなら多くの事業者が算定しますよ。
毎月算定可能!?
でも緊急短期入所受入加算って、その性質上ショートステイ利用ごとに算定だよなあ。じゃあ今回の特例算定も、長期利用者については最初に算定してお終いかな…と思って県に確認したところ毎月算定可能との回答が。
えっ本当?正直、美味しすぎないですか。
これ「介護業界が優遇されすぎ!」と言われないように、しっかり行動・運営する必要があるんじゃ…。
結局はよーく考えて決断しよう
安定経営・事業者ケアマネ事務負担増・利用者負担増・公平性…等々の観点から、各事業所単位で総合的に算定の是非を判断して良いと思います。
カネ・ヒト・モノ・道義的観点を踏まえて落とし所を決めるのは経営者ってことです。
間違っても事業所管理者や請求・事務担当者に判断丸投げしちゃダメ。
ちなみに当事業所では前述②で算定します。
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