狩猟免許を取りたいと思ってから実際に取るまで。

狩猟

わしが持っている狩猟免許(わな・網)を取得するまでの話です。これから狩猟をやりたい方の参考になれば幸いです。

狩猟やる人が増えたら良いな!

何で狩猟免許を取ろうと思ったのか

わし、狩猟免許を取得しています。

狩猟免許を持っていなければ、鳥や獣を獲ってはいけません。ある意味業務独占資格です。

取った理由は元々自然や動物が好きだったから。

で、意外と簡単に『狩猟』という自然に密着しつつも非現実的なちょっと変わった資格を取得できることが判明。
さらに肉や加工を楽しめるみたいじゃないですか。

じゃあ資格取っちゃえってノリです。

免許取得したい!という欲を高める

わしが棲む本州最北端の県のホームページを見てみることに。
「自然保護」のページにありました。

ざっくり目を通して整理したところ「免許を取って実際に狩りをするまで」の流れは以下の通り。

狩猟免許試験予備講習申込
↓
狩猟免許試験予備講習
↓
狩猟免許試験申込
↓
狩猟免許試験
↓
合格発表
↓
猟友会に入会(任意だけど入った方が絶対的に良い)
↓
狩猟税納入・共済加入
↓
都道府県に狩猟登録申請
↓
登録証が届いたら登録先の都道府県で狩猟可能に

結構過程があるなあ・・・というのが第一印象。

でもやると決めたからにはやる。主に自分の興味と欲のために。

狩猟免許試験予備講習会に申し込み・受講

狩猟免許試験予備講習会は県の猟友会が主催していて、受験者はほぼ受講必須です。理由は後述。早速県の猟友会に電話で申し込みます。

聞かれた内容は氏名、住所、電話番号。当日は講習料+テキスト代で7,300円かかるとの説明があり、これで申込終了。あっさり。

簡単でしたが申込は電話のみというのに若干の不安を感じつつ、当日を待ちます。

狩猟免許予備講習当日

9:00受付開始、ちょっと早く来すぎたなあと思っていたら・・・。
会場入り口前にすでに20人ほど並んでいました。予想より多い!びっくり。
そして、あれよあれよと後ろに参加者が並んで行きます。

こんなにいるんだ・・・と戸惑いつつ、(多分)新たに狩猟免許を取得する、つまりわしと同期になりそうな方々がこんなに多くいるということに少し嬉しくなったのを覚えています。

9:30になり開場。

部屋を入ってすぐに受付が。名前を告げ、事前のアナウンス通り7,300円を支払います。内訳は参加費5,000円、テキスト2,300円。
テキスト2,300円のうち、狩猟の教科書とも言える『狩猟読本』が800円。狩猟免許試験問題集が1,500円とのことです。

自由席に着席。講義が始まります。講師は県のベテラン猟師の方2名でした。

テキストの狩猟読本がまあ面白く、狩猟鳥獣の解説(生態、足跡、食性などなど)、狩猟関係法令の説明、猟具や猟法、果てはジビエ料理の説明など、ためになるものばかり。時間があるとき読むだけでも楽しいです。

昼食後は、取得を希望している免許の種類に応じて、猟具の扱い方の説明や実技指導があります。
ちなみにお昼ご飯付きでした。サンドイッチ買って行かなくて良かったな。

猟具取扱は本試験にそのまま出る!

狩猟免許試験には猟具の取扱についての実技試験があります。試験官の前で指定の猟具を架設または使用を実演しなくてはならず、しっかり勉強していないと受かるわけがありません。

わしは罠猟・網猟免許の取得を目指していたので、指示通りまずは罠猟のグループに行きます。
複数免許取得希望者は順番にグループを変わりますので希望する種別全てに参加出来ます。

テーブルの上に3つの猟具(罠)が並べられていました。

トラバサミ、踏み板式の箱罠、ストッパーがついていないイタチ用捕獲器、の3種だったと思います。

「この中では合法猟具は箱罠のみ」「トラバサミは猟具としては使えないが有害駆除の許可を得ていればその目的下で使用可能」などの説明があった後、講師から衝撃的な助言が。

本番の試験でも、このように3つの猟具を並べています。

ほうほう。

試験官は『この猟具のうち、使用出来るものはどれですか』と尋ねます。

ふむ。

あなた達は、このはこ罠を指して『はい、この箱罠です』と言って下さい。

「  」

すると試験官が『では、この箱罠を架設して下さい』と言いますので、架設して下さい。

(箱罠の架設を丁寧に行う)

これで合格です。

えっ

…どうやら、試験本番ではこの予備講習で行ったことと全く同じことを行うよう求められるようです。

マジですか。
カンニングどころじゃなく事前に答え言っちゃってますよ。

優しい世界。

予備講習はとても楽しかったです。全く時間を感じさせませんでした。
自分の知識向上のためにも、試験合格のためにも講習は必須です。

狩猟免許試験受験まで

さて狩猟免許試験予備講習も終わり、試験のために申請が必要になります。
わな猟及び網猟免許申請のためには下記のものが必要です。

  • 申込用紙
  • 5,200円の県収入証紙
  • 写真1枚
  • 返信用封筒
  • 医師の診断書

そして、住所地を所管する地域県民局地域農林水産部林業振興課に提出しなければならない、ということ。

この赤字の部分が手こずる、というか注意が必要な部分です。

医師の診断書

どうやら「精神疾患や麻薬使用者ではないですよ」という医者のお墨付きが必要なようです。
そりゃ猟銃や、使い方によっては危険な罠・網を使用する免許なわけですからね。
重大事件に発展しないよう、また悪用されないよう免許取得希望者の質の担保は必要だと言うことでしょう。それはわかります。

全然書式が示されていません。

いったい何を書いてもらえば良いのだろう・・・。
悩んだわしは、県庁の所轄課に問い合わせました。

診断書の基本書式があるので、宜しければメールでお送りします。

あんのかい!

最初からホームページからダウンロード可にしてもらえれば、スムーズにかかりつけ医を受診出来るのに・・・。と喉まで出かかったけど言えなかったわし。チキン。

頂いた書式をかかりつけ医に持って行くと、サクッと書いてもらえました。

猟友会御用達の医療機関であれば診断書をすぐ書いてくれるのかも知れませんが、そうでない場合はこちら側で書式を用意する必要があると思います。

というか県よ、あるなら書式下さい。お願いします。

いざ提出!しかし

住所地を所管する地域県民局地域農林水産部林業振興課に提出しなければならないとの事で、書類一式が入る封筒を準備、所管の住所を調べ封入しいざ郵便局から郵送
・・・という直前になって、何故かわしの脳にピコーンと来た。
そしてスマホから県のホームページから申込要綱を再確認してみたところ

どっこにも「郵送で」と書いていない。

嫌な予感がして、また県庁に問い合わせます。

所轄の県民局に直接提出して下さい。

あぶねぇー!!

郵送するところでした。

ネット上では「郵送で提出も可」という県もあるようなので、てっきり我が本州最北端の県もそうだと思っていました。危うく書類一式無駄にするところだった。

その点も明記して欲しかった・・・。

紆余曲折ありましたが、何とか提出し受理されました。役所のお姉さん丁寧でお茶まで出してくれた。好き。

試験日当日

試験日までに、受験票が手元に郵送されます。
それを持参し、会場へ。

平成28年10月2日の朝8:30頃、試験会場に到着しました。

会場にいたのはこんな方々

駐車場に入ると、車内で狩猟読本を読んでいる方がチラホラいらっしゃる。
間違いなく狩猟免許試験受験者だ!
ということは、同士かつライバル。嫌が応にも緊張感が高まります。

ちなみに当日はケアマネ試験日と同日のせいか、駐車場の入り口には「ケアマネ受験者は駐車禁止」のカードを持ったシルバーの方がたくさんいらっしゃった。受験日が同じだったんですね。
という事は、ここはケアマネ試験会場ではないにも関わらず無断駐車する輩が多いわけだね。介護・福祉の人間がモラルの無い事するなって!

部屋の前には県担当課の方がいて受付をしていました。

カカメン、罠と網です。

と氏名と受験科目を告げ受験票を手渡すと、指定の席に座るよう指示が。
座席表を見て指定席に着席。

座席で待っていると続々と受験者が入室して来ます。
この日は60人くらいだったでしょうか。30代以下の若い方も目立ちます。

驚いたのは2割ほどは若い女性だったこと。
当県では狩猟免許受験者増のためジビエツアーを企画したり、獣医系の大学や営農大学校で免許取得の講習を行っているのが奏功しているんだろうなあ・・・。凄い。

そして何と、外国人(明らかに欧米)の方が2名!傍らにはベテランハンターと思しきグレーヘアーの方が通訳をしていました。
通訳もやるんだ……凄いぞハンター。

試験が始まるまでの間、受験者は思い思いに過ごしています。
狩猟読本を読む人、ノートを見返している人、Youtubeで狩猟対象鳥獣判別の動画を見ている人、寝ている人・・・。

わしも自作の狩猟判別鳥獣カードを見て、頭の中で回答しながら過ごしました。

野尻抱介(尻P)様のブロマガにあった狩猟鳥獣判別暗記カード大いに参考にさせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます)

そして試験は始まった

まず試験官から「今回は、適性試験→知識試験→技能試験の順番になる」と説明があり、いよいよ試験開始です。

適正能力試験

と言っても全く難しいものではありませんでした。聴覚・運動能力・視力の検査だと聞いていたのですが、

着席の状態で前方の試験官から名前を呼ばれたら返事をする → 聴覚検査合格

廊下に出て、試験官と同じ動きをする(腕を回したり、屈伸運動など) → 運動能力試験合格

着席して5m先の視力検査表のランドルト環(あのCのやつね)の開いている方向を解答 → 視覚試験合格

以上。

「落とすための試験ではない」と聞いてはいましたが…。

知識試験(筆記試験)

受験する免許の組み合わせごとに、試験・回答用紙が配られました。
例えば第1種銃猟免許のみの試験問題と、わしのように罠・網のみの試験問題は異なります。

確か90分の筆記試験でした。

一定時間が経過すると、退室可能になります。
試験問題自体は、予備講習と自習で充分。行き詰まるものはありません。
わしもチャチャっと解答を記入し、時間になったらすぐ退室。

その間ホールで待っていると、なんと以前介護関連業界団体の会合で一緒になった方が声をかけてきてくれた!
聞けばすでに銃猟免許は合格して地元猟友会に随行して狩猟に出かけており、今回は罠猟免許も取得するために受験したとのこと。

介護関係者でもハンターはいるんだ!とちょっと嬉しくなりました。

技能試験

これが、予備講習&勉強していないと難しいところだと思います。

わしは罠猟免許と網猟免許の2種類受験なので、2つの法定猟具の架設と、鳥獣判別を行わなくてはなりません。

まず罠猟免許。名前を呼ばれ、部屋に入ります。

机の上には、3種類の猟具が。踏板式の箱罠、トラバサミ、ストッパーがないイタチ捕獲器の3つ。

試験官に聞かれます。

この中で、使用できる猟具はどれですか?

はい、この箱罠です(講習と同じやんけ…)

では、この箱罠を架設して下さい

はい(カチャ)

では、これを解除して下さい

はい(バン!)

はい結構です

終了。

本当に予備講習通りでした。

その後、網猟についても同様のことを行います。

たしか突き網・虫取り網と…あと1個忘れました(爆)。とにかく3つ並んでいて、同じことを聞かれました。

で、突き網を指定して、実際の捕獲動作を行い終了。

よかった…他県では無双網の架設もやるところもあるようで、それだったらヤバかったかも。

鳥獣判別試験

いよいよ試験の大ヤマ。
鳥獣判別試験です。

名前を呼ばれたら試験官の前へ行き着席。ドキドキ。

紙芝居形式で鳥や動物のイラストが提示され、狩猟の可否と、狩猟鳥獣であるならその名前を解答するという段取りです。
とは言え、最大の難関である「鳥類の判別」、特にカモ類の判別は『かま子キスは頬引くよ』で覚えました。
他の動物についても、自作暗記カードで覚えたから大丈夫!

そして着席一発目の試験官からの質問。

では、これは?

と提示された1枚目。

知らない奴が出て来た。

イラストですらないし!
狩猟読本に描いてある絵が出るんじゃないのかよ!

急にテンパるわし。

あっと…えー…イ…イタチ…?

あーっ残念、ミンクです!

わからないよ!!💢

予備講習でも習っていないし、テキストにも載っていない写真だし、わが県には棲息していないし!

だいたいテキストのミンクのイラストは薄い茶褐色じゃないですか。

初見で答えろと言われても。

ちょっと理不尽でした(笑)。

その後は、順調にイラストによる問題が続き(なんでミンクだけ写真だったんだ…)、無事終了。

これで狩猟免許試験の日程すべてを終えました。

試験後…

全員の試験が終わった後、再び筆記試験会場に集められます。

そして試験官から一言。

皆さん、お疲れさまでした。本日受験された皆さんは全員合格です

口頭で全員合格の発表。

びっくり。
でも若い女性も外国の方も、全員が合格という事で良かった良かった。

当初はお昼休憩をはさんで午後まで試験の予定でしたが、特に筆記試験が皆さん早く終わったのもあり、どんどん時間が繰り上がって結局お昼前にはすべての試験が終わりました。この辺の裁量は、各県で異なるのでしょうか。

免許取得後が本番ですよね!

兎にも角にも、これで晴れてハンターへの第一歩を踏み出した事になります。

喜んでいたのもつかの間…この後も実際に狩猟をするために必要なモノや手続きがたくさんあることを知ります。手始めに地元猟友会に加入しました。

今では自分のペースで主にわな猟を楽しみつつ、自然や生態系に触れて日々感動しています。いやー自分の住んでいる町はこんなに自然豊かなんだなあー…と新発見も多くありました。

しばらくはこの趣味を続けて行こうと思います。

次の目標は、何年後かわかりませんが銃猟の免許を取ることかな。その時にはまたご紹介します!

長文をお読みい頂きありがとうございました。

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これで狩猟免許取得に対するモチベーションをぐーーんと上げました。

狩猟免許取得や銃所持許可までの流れ、狩猟鳥獣の特徴、ジビエなど狩猟全般を幅広く紹介しているまさに教科書です。読み物としても非常に面白いです。狩猟の世界にまず触れてみたい方にもおすすめ。

狩猟免許取得のためのオススメページ

あ、狩猟免許については、以下のページを読んでいただくと概要や取得までの道のりが詳しく解って良いと思います。
わしも大いに参考にしました。

環境省 狩猟の魅力まるわかりフォーラム
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