介護職員は敬語・丁寧語が当たり前。③コメントへのお返事~それでもやっぱり~

モラル

前回・前々回と「介護職員は敬語・丁寧語が当たり前ですよ」という記事を書きました。その際に、前ブログでこんなコメントを頂いたことをご紹介しました。

信頼関係を築く為にタメ口を使っていては信頼関係など築くことは不可能だと思います。
しかし、信頼関係が既に構築されていた場合どうなのかという事が正直難しいところだと思っています。
ビジネスの世界において、大規模なチェーン店ではお客様にタメ口聞くなど考えられないですが、小規模な個人の店ならどうか?という話を耳にしました。例えば下町の理容店、喫茶店、飲食店、親しい常連客に店主がタメ口で話しても、多少無礼な事を言われても顧客が怒りだすかと言えばそうじゃないと・・・
施設に入居した場合、家族よりも職員と過ごす時間の方が長いという事もあり、入居者様自身が職員を一家族と見ているケースもあります。
初対面でのタメ口はあり得ないと思いますが、一年以上共に過ごしていると多少なりと崩れてしまう事もあります。
(略)
私自身まだまだ未熟者なのでこう考えてしまいがちですが意見を頂ければ幸いです。
長文失礼致しました。

良いご意見を頂いたので返信を書いていたのですが、いざ投稿しようとするとエラー。
はて?と思うと、赤字で「コメントは全角1000文字以内で入力してください。」との表示。わあ、1000文字超えていたんだ。
それじゃあ…という事でちまちま添削して投稿してもまたエラー。
もう!いったい何文字なのよ!とWordにコピペして文字数を調べたら何と2,000字!
添削してどうこうっていうレベルじゃねーぞ。

というわけで、今回はその”返信記事”をご紹介します。

コメントへのお返事

コメントありがとうございます。また、返信が遅くなって申し訳ありません(以下わしの回答です)

さて、『信頼関係が既に構築されていた場合では、ある程度言葉遣いが崩れていても否定出来ないのではないか。小規模な個人商店のように』とのご意見、ご尤もだと思います。

以下、私見を述べさせて頂きますが、私は特別養護老人ホームを運営している社会福祉法人に所属しているための見解だという事を念頭にお読み頂ければ幸いです。

結論から言いますと、私は「それでも敬語・丁寧語は必要、つまりタメ口はあり得ない」という考え方です。

2点ほど理由があります。

特養はケア・接客の両方が高レベルでなくてはいけない

まず1つ目は「特養はおもてなし旅館の如く、ケア内容・接客対応全てに高いレベルを意識しなくてはいけない」という思いがあるからです。

世間では老人ホームと一括りにされていますが、その実、特養・養護・軽費・ケアハウス・サ高住・有料老人ホーム・生活支援ハウス…等々、役割や地域性に応じ非常に多岐に渡っています。
その中で特養の存在感は日増しに薄れつつある印象も否めず『社会保障改革』『介護保険制度改正』と称しては特養の機能を解体するような動きさえ窺える現状があります。

その中で我々が目指すべきは「高品質サービスの提供」「きめ細やかな心遣い・安心感を与える言動など、アメニティの充実」の両輪を実践し、特養の価値を広める事だと思っています。

つまり、地元密着の個人商店とは異なるベクトルが求められているのです。

他施設との差別化を図れない特養の存在意義は全く失われ、いずれただの箱になるのは明白です。

ご利用者・ご家族は本心ではどう思っているのか?

もう1つは、「ご利用者自身・ご家族はどう感じるのだろうか?」という視点からです。
ご利用者ご本人はもとより、ご家族というファクターも無視出来ません。

利用者によって接し方を極端に変える?

例えば初対面のご利用者には敬語で話しかけますが、長く入居している別のご利用者にはタメ口や馴れ馴れしい言葉遣いで話しかける。
1つの事業所内に勤めている同一職員が、ご利用者によって対応を180℃変えるのは、ケア・接遇の標準化の観点からも望ましいものではありません。

その職員のケアそのものに対しても疑心暗鬼になってしまいます。結果、事業所全体への不信・不利益に繋がるのは明らかです。

また、それを間近で見ていた他のご利用者はどう感じるのでしょうか。
自分の祖父母・父母が入居している施設でそのよう光景を見たら、ご家族はどう感じるでしょうか。

私なら、そんな職員がいる施設には自分の家族を預けようとは思いません。
腐っても自分の親です。
誠実な対応・不快感を与えない対応をする職員がいる施設に預けたいと思うのは当たり前だと思います。

家族が何も言わないから良い?

私がこう述べると、必ず「でも家族は私たちの対応に何も言いませんし」と反論する方がいます。

しかし「施設に家族を預けている」という事に負い目を感じているご家族は少なくなく、本心や要望を伝えられないという事は多々あるのです。

もの凄く悪い言い方をすれば、親兄弟を人質に取っているのです。

直接ご家族から発せられる言動の他に、真のニーズはどこに存在するのか、アンテナを張り巡らせて敏感に察知する必要があるのではないでしょうか。

他にも何点か理由があるのですが、主なものは上記の通りです。
そこには通所・入所施設の是非は全く関係なく、あくまで介護サービス事業者として押さえていなければならない基本の部分だという思いが強いです。
(私が良く「アタマが固い」と言われるのはこういった点からかも知れませんが)

サービス業としてのスタンダードを目指す

介護職員の髪型にも同じ事が言えるのですが(後の記事で紹介します)、「我々はスタンダードを目指すべき」だと思っています。
丁寧語で話しかけられて、嫌な思いをする方は少ないでしょう。

一方、タメ口ではどうでしょうか?

繰り返しになりますが、私が特養を有している社会福祉法人の職員であるからこその意見も多分に混じっていますので、ご参考までに留めて頂きたいと思います。

頂いたコメントで気付かされたのですが、そう言えば詳しいプロフィールを記載していませんでしたね。
私も恥ずかしながら介護業務、相談援助業務でそれぞれ数年ずつ経験があり、介護福祉士・介護支援専門員の資格も所有しております。
目下、社会福祉士受験資格取得のために勉強中ですが、なかなか前進していない現状です。

浅学非才の身ではありますが、このようにブログで好き勝手書いております。
今回のようにコメントを頂けるのは、もの凄く勉強になる事が多く、ありがたいばかりです。
これからも、時折覗いて頂ければ幸いです。

思いの外長文になってしまいました。こちらこそ読みづらい文章で失礼いたしました。またの訪問をお待ちしております。

まとめ

いかがだったでしょうか。

当時のブログは2013年に一番最初の言葉遣いについての記事を書いてから、閉鎖までの間に何度もコメントがつくほどの人気記事でした。

それだけ介護業界での言葉遣いについて悩んでいる人、自分なりの考え方を持っている人が多いのでしょう。

皆さんもぜひ「私の言葉遣いは妥当なんだろうか」「この職場ではどんな言葉遣いが求められているんだろう」と考えてみてください。そして機会があれば、同僚や上司とも相談してみるのも良いでしょう。

ただしその時は、我々はサービス業であるということを忘れないでください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました